最低なヤツ

 マゲたこです。きっとこのブログを見ている人はいないと思うので、王様の耳はロバの耳の童話のように最近自分がやってしまった最低な行動を懺悔してすっきりしたい。

 僕は技術職として採用を受け、流れる様に工場配属、そして今男だらけの環境に身を置いている。男しかいないわけだから彼女なんかできる見込みがない。ゆえに僕は最近マッチングアプリを利用して彼女探しをしている。まぁ始めるきっかけは同期に僕が彼女がいたことが無い事をいじられ、そのノリでマッチングアプリをその場でダウンロードという、いわば馬鹿な男子のノリで始めたわけであるが。

 最初は恋に真剣になるのが照れくさくて、プロフィール画像を変な画像にして真面目にやらなかったものの、次第に課金した4000円が惜しくなり、結局顔写真をのせ、真剣に彼女探しを行うことにした。

 約23年蓄積した彼女無しのニオイだ。当然女性を寄せ付けない。向こうからのイイねなんてもってのほか。こちらからイイねをしても見向きもされない。そんな感じでマッチング出来ない日々を過ごしていたころだ。ついにイイねのお返しがきてマッチングが成立した。

 めちゃくちゃ嬉しかった。人生でここまで女性に近づいた瞬間があっただろうか。その通知を見てから僕の心臓の鼓動が大きくなり、寝付こうとしていた体をアドレナリンがたたき起こしているのを感じた。

 それ以来彼女と僕は、互いのプロフィールを片手に当たり障りのないやり取りを行った。はっきり言って中身はない。ただその場で足踏みをしているような会話である。当然のように会話のネタは尽きた。だから僕は自分のプロフィールに手直しを行った。趣味も追加した。そして彼女からの連絡が途切れた。

 正直に言う。プロフィールを変えているときに下心が無かったわけではない。やはり他の人からもイイねが欲しかった。一つでも多く集めたかった。もっと自分好みの方とマッチングしたかった。彼女は自分には十分すぎる人だったのに。そして彼女はそんな僕の下心を見抜いたんだろう。

 彼女のイイねは見るたびに+10個、+20個と増えていた。

 そして今日、彼女からの連絡が途切れてかなりの時間が経った。僕は馬鹿だから、僕との会話がつまらないから彼女は僕を振ったんだと勘違いした。僕は振られたんだなぁとジワジワと実感し、愚かにも新たな相手とマッチングするためにセコセコと準備を始めた。僕がプロフィール画像を変えて10分ほどたった時、彼女とのやり取りが僕の画面から消えた。ブロックされたのだ。その時は「あぁ、ブロックってこうなるんだ。僕は本気で振られちゃったんだな」なんてヘラヘラと考えていた。

 その後しばらくマッチングアプリをいじった後、歯ブラシを買い替えようと考えていたことを思い出し、夜のコンビニへと向かった。夜の冷たい風は僕に落ち着きと冷静な思考を与えてくれる。歩きたくない、座り込んでしまいたいような感覚が僕を襲った。僕はわかった、僕がやったことを。僕が彼女を振った、一番汚いやり方で。

 彼女に謝りたい。弁解の余地はない。僕はクズです、と一言伝えたい。

 でも、そう謝ることも、この懺悔のブログも、結局スッキリした気分で寝るために行おうとしている自分に気づく。本当に、自分はどうしようもなく最低なヤツである。

 

 このブログが彼女に届くことを願う。